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「四季」緒言
「しき」しょげん |
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作品ID | 59741 |
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著者 | 滝 廉太郎 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「瀧廉太郎――夭折の響き」 岩波新書、岩波書店 2004(平成16)年11月19日 |
初出 | 「四季 花、納涼、月、雪」1900(明治33)年11月1日 |
入力者 | かな とよみ |
校正者 | officeshema |
公開 / 更新 | 2021-08-24 / 2021-07-27 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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近来音楽は、著しき進歩発達をなし、歌曲の作世に顕はれたるもの少しとせず、然れども、是等多くは通常音楽の普及伝播を旨とせる学校唱歌にして、之より程度の高きものは極めて少し、其稍高尚なるものに至りては、皆西洋の歌曲を採り、之が歌詞に代ふるに我歌詞を以てし、単に字句の数を割当るに止まるが故に、多くは原曲の妙味を害ふに至る。中には頗る其原曲の声調に合へるものなきにしもあらずと雖も、素より変則の仕方なれば、これを以て完美したりと称し難き事は何人も承知する所なり。余や敢えて其欠を補ふの任に当るに足らずと雖も、常に此事を遺憾とするが故に、これ迄研究せし結果、即我歌詞に基きて作曲したるものゝ内二三を公にし、以て此道に資する所あらんとす。幸に先輩識者の是正を賜はるあらば、余の幸栄之に過ぎざるなり。
明治三十三年八月
瀧廉太郎