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灰かぶり
はいかぶり
作品ID59745
著者グリム ヴィルヘルム・カール / グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
翻訳者矢崎 源九郎
文字遣い新字新仮名
底本 「グリム童話集(1)」 偕成社文庫、偕成社
1980(昭和55)年6月
入力者sogo
校正者チエコ
公開 / 更新2021-09-20 / 2021-08-28
長さの目安約 19 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 あるお金持ちのうちで、そのうちのおくさんが病気になりました。おくさんは、もういよいよじぶんはだめだと感じましたので、ひとりむすめの小さい女の子をまくらもとによびよせて、こういいました。
「あのね、いつまでも神さまを信じて、すなおな心でいるんですよ。そうすれば、神さまは、いつもおまえのそばについていてくださるからね。おかあさんもおまえを天国から見まもっていて、おまえのそばをはなれませんよ。」
 おかあさんはこういって、目をつぶりました。そして、そのまま、この世をさってしまったのです。
 女の子は、まい日、おかあさんのお墓のところへいっては、泣いてばかりいました。でも、神さまを信じて、すなおな心でいました。
 やがて、冬になりますと、雪がそのお墓の上に白い布をひろげました。それから、春になって、お日さまがその布をとりのけるようになったころ、お金持ちのうちには、またべつのおくさんがきました。
 こんどのおくさんは、じぶんのむすめをふたりつれてきました。そのむすめたちは、顔だけは白くてきれいでしたが、心のなかときたら、ひねくれていて、まっ黒でした。ですから、かわいそうなままむすめの女の子にとっては、それからは、つらい日がまい日つづくことになりました。
「このあほうなガチョウむすめったら、うちんなかにすわりこんでいるよ。」
と、まま母やそのむすめたちが口ぐちにいいました。
「ごはんが食べたかったら、だれだってじぶんでかせぐんだよ。さあ、さっさといって、女中といっしょにおはたらき。」
 こういうと、みんなは、女の子のきていたきれいな着物をぬがせて、そのかわりに、ネズミ色の古ぼけたうわっぱりをきせて、木ぐつをはかせました。
「ちょいと、この高慢ちきなお姫さまをごらんよ。ずいぶんおめかししたこと。」
 みんなはこうはやしたてながら、大わらいをして、女の子を台所につれていきました。
 それからというものは、まい日まい日、女の子はつらいしごとをしなければなりませんでした。朝は日のでるまえにおきだして、水をはこび、火をもやし、煮ものをし、せんたくをしました。
 ところが、そういうつらいしごとがあるうえに、ねえさんたちは、つぎからつぎへと、いろんなことを考えだしては、女の子をいじめたり、ののしったりするのです。そして、わざと豆つぶを灰のなかにぶちまけては、女の子がいやでもすわって、それをひろいださなければならないようにしむけるのでした。
 一日じゅうはたらいたあとで、どんなにくたびれきっていても、晩には、寝床にはいらずに、かまどのそばの灰のなかに横にならなければなりませんでした。ですから、この子はいつもほこりだらけで、よごれたかっこうをしていましたので、みんなはこの子のことを、「灰かぶり」「灰かぶり」とよびました。
 ある日のこと、おとうさんが市へでかけることになりました。それで…

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