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ヘンゼルとグレーテル
ヘンゼルとグレーテル
作品ID59748
著者グリム ヴィルヘルム・カール / グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
翻訳者矢崎 源九郎
文字遣い新字新仮名
底本 「グリム童話集(1)」 偕成社文庫、偕成社
1980(昭和55)年6月
入力者sogo
校正者チエコ
公開 / 更新2021-09-20 / 2021-08-28
長さの目安約 20 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 ある大きな森のはずれに、ひとりの貧乏な木こりが、おかみさんと、ふたりの子どもといっしょに住んでいました。ふたりの子どもは、男の子がヘンゼル、女の子はグレーテルといいました。この木こりは、ふだんでもろくに食べるものがありませんでしたが、ある年、国じゅうに大ききんがおこったため、こんどは、まい日のパンさえ食べることができなくなりました。木こりは、晩に寝床へはいってからも、あれやこれやと考えると、心配で心配でねむることもできず、ねがえりばかりうっていました。そしてそのあげくに、ため息をつきつき、おかみさんにいいました。
「これからさき、おれたちはどうなるんだ。かわいそうな、あの子らを、どうやってくわせていったもんだろう。おれたちだけでも、くうものがないんだからなあ。」
「じゃ、おまえさん、こうしたらどう。」
と、おかみさんがこたえました。
「あしたの朝、うんとはやく、子どもたちを森のなかへつれだして、いちばん木のたてこんでいるとこまでつれていくんだよ。そしたら、そこで、たき火をおこして、ふたりにパンをひときれずつやっておいてさ、わたしたちゃしごとにでかけて、ふたりはそのままおいてきぼりにしちまうんだよ。そうすりゃ、かえり道なんかわかりっこないんだから、それでやっかいばらいというわけさ。」
「そいつあ、いけねえよ、おめえ。」
と、木こりはいいました。
「そんなこたあ、おれにゃあできねえ。子どもらを森のなかにすててくるなんて、とてもそんな気にゃあなれねえ。そんなことをしようもんなら、すぐに森のけだものがとびだしてきて、あのふたりをずたずたにひきさいちまわあな。」
「おまえさんは、なんてばかなんだい。」
と、おかみさんはいいました。
「そんなことをいってりゃ、わたしたちゃ四人とも、ひぼしになって、死んじまうじゃないか。まあ、棺おけの板でもけずっとくがいいさ。」
 おかみさんはこういって、それからも、なんのかんのとうるさくいいたてますので、とうとう、木こりも承知してしまいました。
「だが、やっぱり子どもらがかわいそうだなあ。」
と、木こりはいいました。
 ふたりの子どもたちは、おなかがすいてねむれませんので、いま、まま母がおとうさんに話していたことを、のこらずきいてしまいました。グレーテルはしくしく泣きだして、
「あたしたち、もうだめね。」
と、ヘンゼルにむかっていいました。
「しっ、だまって、グレーテル。」
と、ヘンゼルはいいました。
「だいじょうぶだよ。ぼくがきっとうまくやってみせるから。」
 やがて、おとうさんとおかあさんがねてしまいますと、ヘンゼルはそっとおきあがり、じぶんの上着をきました。それから、くぐり戸をあけて、こっそりとおもてにでていきました。ちょうど、お月さまが明るくてっていて、うちのまえにしいてある白い小石が、まるで銀貨のように、きらきらひかっていま…

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