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赤ずきん
あかずきん
作品ID59835
著者グリム ヴィルヘルム・カール / グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
翻訳者矢崎 源九郎
文字遣い新字新仮名
底本 「グリム童話集(1)」 偕成社文庫、偕成社
1980(昭和55)年6月
入力者sogo
校正者チエコ
公開 / 更新2021-01-04 / 2020-12-27
長さの目安約 8 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 むかしむかし、あるところにちっちゃな、かわいい女の子がおりました。その子は、ちょっと見ただけで、どんな人でもかわいくなってしまうような子でしたが、だれよりもいちばんかわいがっていたのは、この子のおばあさんでした。おばあさんは、この子の顔を見ると、なんでもやりたくなってしまって、いったいなにをやったらいいのか、わからなくなってしまうほどでした。
 あるとき、おばあさんはこの子に、赤いビロードでかわいいずきんをこしらえてやりました。すると、それがまたこの子にとってもよくにあいましたので、それからは、もうほかのものはちっともかぶらなくなってしまいました。それで、この子は、みんなに「赤ずきんちゃん」「赤ずきんちゃん」とよばれるようになりました。
 ある日、おかあさんが赤ずきんちゃんをよんで、いいました。
「赤ずきんちゃん、ちょっとおいで。ここにおかしがひとつと、ブドウ酒がひとびんあるでしょう。これをね、おばあさんのところへもっていってちょうだい。おばあさんは病気で、よわっていらっしゃるけれど、こういうものをあがると、きっと元気になるのよ。じゃ、暑くならないうちに、いってらっしゃい。それからね、そとへでたら、おぎょうぎよく歩いていくのよ。横道へかけだしていったりするんじゃありませんよ。そんなことをすれば、ころんで、びんをこわしてしまって、おばあさんにあげるものが、なんにもなくなってしまうからね。それから、おばあさんのおへやにはいったら、いちばんさきに、おはようございますって、あいさつするのをわすれちゃだめよ。そうして、はいるといっしょに、そこらじゅうをきょろきょろ見まわしたりするんじゃありませんよ。」
「だいじょうぶよ。」
と、赤ずきんちゃんはおかあさんにいって、約束のしるしに指きりをしました。
 ところで、おばあさんのうちは、歩いて、村から半時間もかかる森のなかにありました。赤ずきんちゃんが森のなかへはいりますと、オオカミがひょっこりでてきました。でも、赤ずきんちゃんは、オオカミがわるいけだものだということをちっとも知りませんでした。ですから、べつにこわいとも思いませんでした。
「こんにちは、赤ずきんちゃん。」
と、オオカミがいいました。
「こんにちは、オオカミさん。」
「こんなにはやくから、どこへいくの。」
「おばあさんのとこよ。」
「まえかけの下にもっているのは、なあに。」
「おかしとブドウ酒。きのう、おうちで焼いたのよ。おばあさんが病気で、よわっているでしょう。これをあがると、からだに力がつくからよ。」
「おばあさんのおうちはどこなの、赤ずきんちゃん。」
「もっともっと森のおくで、まだ十五分ぐらいかかるわ。大きなカシの木が三本立っているその下に、おばあさんのおうちがあるのよ。まわりには、クルミの生け垣があるわ。あなた、知っているでしょう。」
と、赤ずきんちゃ…

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