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おりこうハンス
おりこうハンス |
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作品ID | 59837 |
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著者 | グリム ヴィルヘルム・カール Ⓦ / グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール Ⓦ |
翻訳者 | 矢崎 源九郎 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「グリム童話集(1)」 偕成社文庫、偕成社 1980(昭和55)年6月 |
入力者 | sogo |
校正者 | チエコ |
公開 / 更新 | 2022-02-23 / 2023-09-12 |
長さの目安 | 約 7 ページ(500字/頁で計算) |
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ハンスのおかあさんが、
「ハンスや、どこへいく。」
と、たずねます。
すると、ハンスがこたえます。
「グレーテルんとこさ。」
「うまくやるんだよ、ハンス。」
「ああ、うまくやるとも。あばよ、おっかあ。」
「あばよ、ハンス。」
ハンスはグレーテルのところへきます。
「こんちわあ、グレーテルさん。」
「こんちは、ハンスさん。なにかいいものもってきてくれて。」
「なんにももってきやしないよ。なんかくれるものない。」
グレーテルはハンスに針を一本やります。ハンスは、
「さよならっ、グレーテルさん。」
と、いいます。
「さよなら、ハンスさん。」
ハンスはその針をとって、ほし草の車へつきさして、じぶんはその車のあとからかえっていきます。
「ただいまあ、おっかあ。」
「おかえり、ハンス。どこへいってたの。」
「グレーテルんとこへいってた。」
「おまえ、なにをもってってやったの。」
「なんにももってきゃしない。むこうでくれたよ。」
「グレーテルがおまえになにをくれたの。」
「針をくれたよ。」
「その針はどこにあるの、ハンス。」
「ほし草の車へさしといた。」
「ばかなことをしたねえ。ハンスや、針はそでにさしとくもんだよ。」
「どっちだっていいや。こんだあ、うまくやるよ。」
「ハンスや、どこへいく。」
「グレーテルんとこさ、おっかあ。」
「うまくやるんだよ、ハンス。」
「ああ、うまくやるとも。あばよ、おっかあ。」
「あばよ、ハンス。」
ハンスはグレーテルのところへきます。
「こんちわあ、グレーテルさん。」
「こんちは、ハンスさん。なにかいいものもってきてくれて。」
「なんにももってきやしないよ。なんかくれるものない。」
グレーテルはハンスにナイフを一ちょうやります。
「さよならっ、グレーテルさん。」
「さよなら、ハンスさん。」
ハンスはナイフをそでにさして、うちへかえっていきます。
「ただいまあ、おっかあ。」
「おかえり、ハンス。どこへいってたの。」
「グレーテルんとこへいってた。」
「おまえ、なにをもってってやったの。」
「なんにももってきゃしない。むこうでくれたよ。」
「グレーテルがおまえになにをくれたの。」
「ナイフをくれたよ。」
「そのナイフはどこにあるの、ハンス。」
「そでにさしといた。」
「ばかなことをしたねえ。ナイフはふくろにいれとくもんだよ。」
「どっちだっていいや。こんだあ、うまくやるよ。」
「ハンスや、どこへいく。」
「グレーテルんとこさ、おっかあ。」
「うまくやるんだよ、ハンス。」
「ああ、うまくやるとも。あばよ、おっかあ。」
「あばよ、ハンス。」
ハンスはグレーテルのところへきます。
「こんちわあ、グレーテルさん。」
「こんちは、ハンスさん。なにかいいものもってきてくれて。」
「なんにももってきやしないよ。なんかくれるものない。」
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