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三本の金の髪の毛をもっている鬼
さんぼんのきんのかみのけをもっているおに
作品ID59838
著者グリム ヴィルヘルム・カール / グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
翻訳者矢崎 源九郎
文字遣い新字新仮名
底本 「グリム童話集(1)」 偕成社文庫、偕成社
1980(昭和55)年6月
入力者sogo
校正者チエコ
公開 / 更新2021-11-22 / 2021-10-27
長さの目安約 18 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 むかし、あるところに、ひとりのまずしい女がおりました。この女があるときひとりの男の子を生みましたが、その子は頭に〈(1)福の皮〉をかぶって生まれてきました。それで、この子は十四になったら、王さまのお姫さまをおよめさんにもらうだろう、という予言をしたものがありました。
 それからまもなくのこと、王さまがこの村にやってきました。けれども、それが王さまだとは、だれひとり夢にも知りませんでした。王さまは、なにかかわったことはないかと、村の人たちにたずねました。すると、みんなはこたえて、こういいました。
「さいきん、福の皮をかぶった子どもが生まれました。こういう子どもは、なにをやってもいい運にめぐまれているものです。じっさい、その子についても、十四になったら、王さまのお姫さまをおよめさんにもらうだろう、という予言をしたものもあるんですよ。」
 王さまはその予言のことをきいて、ひどく腹をたてました。しかし、もともと腹黒い人でしたから、その子のおとうさんとおかあさんのところへいって、いかにもしんせつそうなふりをして、こういいました。
「どうだろう、あんたがたはまずしいようだが、その子どもをわたしにくれないかね。わたしがめんどうをみてやるよ。」
 はじめのうちは、おとうさんもおかあさんもことわりました。けれども、その見知らぬ人が子どもをもらうかわりにといって、たくさんのお金をさしだしたものですから、ふたりは、
(これは福の子だ。どっちみち、いい運にめぐりあうにちがいない。)
と、考えて、とうとう承知してしまいました。そして、子どもを王さまにわたしたのです。
 王さまはその子を箱のなかにいれました。そして、それをもって馬をすすめていきますと、そのうちに、とあるふかい川にでました。すると、王さまはその箱を川のなかにほうりこんでしまいました。そして、
(これで、思いもよらないやつに姫をやらなくてもすんだわけだ。)
と、心のなかで思いました。
 ところが、その箱はしずまないで、小舟のように、ぷかぷかうかんでいきました。そして、なかには水一てきはいりませんでした。
 こうして、箱は王さまの都から二マイルほどはなれている水車小屋のところまでながれていって、そこの堰にひっかかって、とまりました。
 運よく、そこに立っていた粉ひきの小僧がそれを見つけて、とび口でもってひきよせました。小僧は、すばらしい宝ものを見つけたと思いました。ところが、箱をあけてみますと、どうでしょう、なかには、きれいな男の子がはいっているではありませんか。男の子は、みるからに元気よく、ぴちぴちしていました。
 小僧はこの子を粉ひきの夫婦のところへつれていきました。すると、粉ひきの夫婦には子どもがなかったものですから、ふたりは、
「この子は、神さまからさずかったのだ。」
と、いいました。
 夫婦はこの子をだいじにそだ…

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