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鉄面皮
てつめんぴ
原題A Front of Brass
著者ホワイト フレッド・M
翻訳者奥 増夫
文字遣い新字新仮名
入力者奥増夫
校正者
公開 / 更新2019-08-21 / 2019-07-30
長さの目安約 188 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

主な登場人物      備考
グラント        主人公
メイ          婚約者
スペンサ        初老の共同経営者
ブルース卿       メイの父
令夫人         ブルース卿の妻
ジェナ         スペンサの召使い
マッシングフォード夫人 宝石持ち
スミス         謎の人物
スカースデール     共同名義経営者
エレン         スカースデールの妻
マンリ         警部
レイボールド      スペンサの秘書
モートン        悪党
カルデラ        下院議員
カルメン        カルデラの妻
ジェンキンズ      スペンサの顧客
ウェンライト      友人
ベリントン夫人     破産の巻き添え
叔母          メイの叔母
カール         カルメンの恋人
ワトキンズ       お抱え運転手
クラークスン      スペンサの元秘書
アーサ         浮浪者
チャーリ        窃盗犯
ラット・ケリ      窃盗犯
レッド・ローガン    窃盗犯
タウンリ        警視庁の警部
レノン         警視庁の警部
カー夫人        文房具店主
デント         クラークスンの偽名

第一章 かげ
 グラントがベランダに立って庭を眺めていた場所はレッジポイント。つかの間ほくそえんだ。そこに立って、新たな物件を堪能したかった。全てが自分のもの――池のニジマス、オランダ庭園、裏庭花壇のアネモネ。ぽんと身銭を切った。
 レッジポイントは田舎の理想の隠れ家だ。確かに邸宅は現代風だが数々の利点を持ち、白亜の張り出し玄関は緑のツタに覆われ、やがて花を貢ぐ。大広間が両翼に広がり、温室につながり、一年中満開。掘り出し物のオーク材家具や、磁器、銀器は前の所有者が長年かかって集めたもの。左翼は立派な書斎。右翼の客間は魅力的な紅白のしつらえだ。客間を見て目を細めた。近いうちにメイがこの屋敷を統括する。
 グラントがこの土地を購入したのは自分とメイのためだ。ほんの数日前、初老の共同経営者スペンサから買い、小切手で自分の口座から支払った。
 スペンサが言った。
「安く売ったな。四千ポンドじゃ安すぎた。邸宅はそれ以上の価値だし、家具も言うまでもない。知っての通り、レッジポイントはわしの道楽だったが、もう必要なくなった。医者が言うに、これからは南フランスで暮らせだと。だからグラント、会社は全てきみに委ねる」
 グラントが慌てて否定した。
「急ぐことはないですよ」
「たぶんな。でもやらねばならん。あとで財務状況をじっくり話し合おう。ずっと金融部門はわしが見てきた。契約だからな。もう知っているかもしれんが、スペンサ・グラント商会は倒産寸前かもしれん」
 グラントが笑…

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