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藤村いろは歌留多
とうそんいろはがるた
著者島崎 藤村
文字遣い旧字旧仮名
底本 「藤村全集第九卷」 筑摩書房
1967(昭和42)年7月10日
初出「藤村いろは歌留多」實業之日本社、1927(昭和2)年1月5日
入力者かな とよみ
校正者杉浦鳥見
公開 / 更新2020-03-25 / 2020-02-21
長さの目安約 3 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


[#挿絵]
「歌留多」の函

[#挿絵]
「歌留多」のなかに折りたたみで入っていたパンフレット
[#改ページ]


このいろはがるた


 長いこと私は民話を書くことを思ひ立つて、未だにそれを果さずにゐますが、このいろはがるたもそんな心持から作つて見ました。私の『幼きものに』や、『ふるさと』や、『をさなものがたり』は、形こそ童話でありますが、その心持は民話に近いやうに、子供のために作つたこのいろはがるたも矢張それに近いものです。子供よ、來て遊べ、と言つて、父母も一緒に遊んで下さい。




い 犬も道を知る。
[#挿絵]
ろ 櫓は深い水、棹は淺い水。
[#挿絵]
は 鼻から提灯。
[#挿絵]
に 鷄のおはやうも三度。
[#挿絵]
ほ 星まで高く飛べ。
[#挿絵]
へ 臍も身の内。
[#挿絵]
と 虎の皮自慢。
[#挿絵]
ち ちひさい時からあるものは、大きくなつてもある。
[#挿絵]
り 林檎に目鼻。
[#挿絵]
ぬ 沼に住む鯰、沼に遊ぶ鯰。
[#挿絵]
る 瑠璃や駒鳥をきけば父母がこひしい。
[#挿絵]
を 丘のやうに古い。
[#挿絵]
わ わからずやにつける藥はないか。
[#挿絵]
か 賢い鴉は黒く化粧する。
[#挿絵]
よ 好いお客は後から。
[#挿絵]
た 竹のことは竹に習へ。
[#挿絵]
れ 零點か百點か。
[#挿絵]
そ 空飛ぶ鳥も土を忘れず。
[#挿絵]
つ つんぼに内證話。
[#挿絵]
ね 猫には手毬。
[#挿絵]
な なんにも知らない馬鹿、何もかも知つてゐる馬鹿。
[#挿絵]
ら 蝋燭は靜かに燃え。
[#挿絵]
む 胸を開け。
[#挿絵]
う 瓜は四つにも輪にも切られる。
[#挿絵]
ゐ 猪の尻もちつき。
[#挿絵]
の のんきに根氣。
[#挿絵]
お 玩具は野にも畠にも。
[#挿絵]
く 草も餅になる。
[#挿絵]
や 藪から棒。
[#挿絵]
ま 誠實は殘る。
[#挿絵]
け 決心一つ。
[#挿絵]
ふ 不思議な御縁。
[#挿絵]
こ 獨樂の澄む時、心棒の[#挿絵]る時。
[#挿絵]
え 枝葉より根元。
[#挿絵]
て 手習も三年。
[#挿絵]
あ 鸚鵡の口に戸はたてられず。
[#挿絵]
さ 里芋の山盛り。
[#挿絵]
き 菊の風情、朝顏の心。
[#挿絵]
ゆ 雪がふれば犬でもうれしい。
[#挿絵]
め めづらしからう、面白からう。
[#挿絵]
み 耳を貸して手を借りられ。
[#挿絵]
し 仕合せの明後日。
[#挿絵]
ゑ 笑顏は光る。
[#挿絵]
ひ 日和に足駄ばき。
[#挿絵]
も 持ちつ持たれつ。
[#挿絵]
せ 蝉はぬけがらを忘る。
[#挿絵]
す 西瓜丸裸。
[#挿絵]



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