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キリスト教入門
キリストきょうにゅうもん
作品ID60192
著者矢内原 忠雄
文字遣い新字新仮名
底本 「キリスト教入門」 中公文庫、中央公論新社
2012(平成24)年4月25日
初出序「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>門をたたけ「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第一章 人生と宗教「嘉信第十四巻第八・第九号」嘉信社、1951(昭和26)年8・9月<br>キリスト教入門第二章 いかにしてキリスト教を学ぶか「嘉信第十四巻第十・第十一号」嘉信社、1951(昭和26)年10・11月<br>キリスト教入門第三章 キリスト教の歴史「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第四章 キリスト教の神観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第五章 キリスト教の人間観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第六章 キリスト教の救済観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第七章 基督者の生涯「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教早わかり「嘉信第九巻第六・第七・第八号」嘉信社、1946(昭和21)年6、7、8月<br>無教会早わかり「嘉信第十巻第四号」嘉信社、1947(昭和22)年4月<br>聖書について「嘉信第十巻第七号」嘉信社、1947(昭和22)年7月<br>イエスの生涯「キリストの生涯」郵政省、1949(昭和24)年2月<br>あとがき「キリストの生涯」郵政省、1949(昭和24)年2月
入力者kompass
校正者officeshema
公開 / 更新2022-01-27 / 2021-12-27
長さの目安約 241 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 徳川時代における切支丹の活動は別として、明治維新後キリスト教が日本に伝道されてから八十年であるが、この間キリスト教の伝道は、見方によっては相当成功したとも言えるし、あまり成功しなかったとも言える。ただ政府も国民も概してキリスト教に対して冷淡であり、はなはだしきはキリスト教は日本の国体にそむくものであるとして、公然これを排斥した有力学者も少なくなかった。加藤弘之や井上哲次郎らは、その急先鋒であった。このような碩学によって排斥されたため、キリスト教は日本の国体に合致しないということが教育界の常識となり、それが国民の間にキリスト教の布教及び信仰を困難ならしめたことは明白である。もしも明治政府とその指導的な政治家並びに教育者がそのような態度をとらなかったならば、キリスト教の伝道はもっと順調に行なわれたであろう。
 国家主義者のキリスト教排斥は、満州事変後太平洋戦争の終局に至るまでの間において最高潮に達し、迫害による受難者も少なからず出た。しかるに敗戦と、それに引きつづいた占領下の政策は、過去の政府と国民とがキリスト教を迫害した思想的並びに政治的根拠をくつがえし、天皇はみずから現人神であることを否定して、従来日本におけるキリスト教の伝道及び信仰を阻害した最大の障害が除去され、思想及び信仰の自由は実質的に強化された。GHQは特にキリスト教を保護する政策は決して取らなかったけれども、思想及び信仰の自由を確立し、民主主義的な改革を実施した結果、日本におけるキリスト教の布教及び信仰はかつてなき自由を享受し、キリスト教の信仰を求める者の数は著しく増加したのである。
 それにしても日本国民は、まだあまりにもキリスト教を知らなさすぎる。西欧文明の内容及び基礎を知るためにも、民主主義的精神を理解しこれを身につけるためにも、ひろく日本国民は一般にキリスト教のことを知らねばならない。しかしそのような知識の問題としてだけでなく、宗教の本来の意味であるところの信仰を得て、人生の生きがいとよりたのみを知るためにこそ、キリスト教を学ぶことがいっそう必要なのである。
 私自身は年齢十九歳(数え年)の時、内村鑑三先生の門に入ってキリスト教の聖書を学び始めてから、すでに四十年を越えた。この間、学問のかたわらキリスト教の聖書について講義をしてきたことが多年であり、その一部は終戦後角川書店から単行本として出版された。その縁故によって、キリスト教の入門書を出すことの依頼を同書店から再三受けたが、多忙のために容易に着手することができなかった。しかるにこの夏、ふと思い立って禿筆を呵し、本書の主要部分である「キリスト教入門」の第三章以下、並びにはしがきに当たる「門をたたけ」の一篇を書き上げ、それに従来私の個人雑誌に発表したことのある数篇を加えて出版することにした。(このうち、「キリスト教早わかり」という…

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