えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
| 
               ゴンドラのうた  | 
          |
| 作品ID | 60465 | 
|---|---|
| 著者 | 吉井 勇 Ⓦ | 
| 文字遣い | 旧字旧仮名 | 
| 底本 | 
              「脚本その前夜」 新潮社 1915(大正4)年4月24日  | 
          
| 初出 | 「新日本 第五卷第四號」冨山房、1915(大正4)年4月1日 | 
| 入力者 | 大久保ゆう | 
| 校正者 | The Creative CAT | 
| 公開 / 更新 | 2022-11-19 / 2022-10-26 | 
| 長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) | 
広告
広告
唄(若い澄んだ少年の聲。)
いのち短し、戀せよ、少女、
朱き唇、褪せぬ間に、
熱き血液の冷えぬ間に、
明日の月日のないものを。
いのち短し、戀せよ、少女、
いざ手を取りて彼の舟に、
いざ燃ゆる頬を君が頬に、
ここには誰も來ぬものを。
いのち短し、戀せよ、少女、
波にたゞよひ波の樣に、
君が柔手を我が肩に、
ここには人目ないものを。
いのち短し、戀せよ、少女、
黒髮の色褪せぬ間に、
心のほのほ消えぬ間に、
今日はふたゝび來ぬものを。
(吉井勇氏作『ゴンドラの唄』――この一節をイタリアの俗謠の調に依つてうたふ。)