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諜報部秘話
ちょうほうぶひわ
副題04 第4話 アルメディ採掘権
04 だいよんわ あるめでぃさいくつけん
原題THE ROMANCE OF THE SECRET SERVICE FUND, No IV: The Almedi Concession
著者ホワイト フレッド・M
翻訳者奥 増夫
文字遣い新字新仮名
初出1900年
入力者奥増夫
校正者
公開 / 更新2020-10-02 / 2020-10-16
長さの目安約 22 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

[#挿絵]
[#改ページ]



「チャールズ卿、ひどい事件ですね。必ず対処します」
 とニュートン・ムーアが答えた。
 チャールズ・モーリィ卿がニヤリ。外務省の大御所チャールズ・モーリィ卿が全幅の信頼を寄せているのが、この有名なムーア諜報部員、その手法を高く評価している。
「常識外れの事件だから、要点を教えておこう」
 面白い話をチャールズ卿がする羽目になった。
 インド国境の北西に広大な山岳地帯があり、温厚なアルメディ族が統治している。時がたち、生まれながらの戦士であるアルメディ族は、インド政府と深刻なゴタゴタを引き起こすようになった。
 戦略的にあの地域は難攻不落だが、アルメディ族の忍耐強さと言い、胆力と言い、尊い血はもちろんのこと、実に驚くべきものであり、現在、アルメディ国はロシア南進の緩衝地帯となっている。
 いまこの国はとても平穏、英国の宗主下にあるからだ。ただしアルメディ国の頭目である現・カラハミ大公は事実上専制君主であり、インド政府に対して友好的にふるまいながら、かなり好き放題なことをやっている。
 やがて、神出鬼没の英国冒険家がアルメディ国に入り、住み着いた。茶の木を植えて収穫し、鉱物資源を探索し、見つけた。
 必然的に企業が進出し、カラハミ大公から大規模な採掘権をもらい、見返りに総額五万ポンド余りの大英銀行約束手形を、浅黒い肌の支配者カラハミ大公に渡した。
 この些細な出来事は一年前のことである。その後、企業側が驚いたことに、カラハミ大公は心変わりして、鉱山をロシア会社の抵当に入れてしまった。企業側が採掘権に現金を支払ったと抗議したが無駄だった。金など受け取ってないと、カラハミ大公は平然とうそぶく。
 当然、企業代表が出向いて大公を訪ねたところ、新たに金を要求するものだから、渋々拒否し、その場を蹴って帰ったが、アルメディ国大公はすっかりしらばくれてしまった。母方の祖父の墓に誓って、知らないという。
 チャールズ卿が説明した。
「実をいうと、確信しているのだが、スタンモア社長と秘書のリバー氏はカラハミ大公の策略で金を奪われたうえ、卑怯にも殺された。いまロシアが自国の為に進出中だが、戦略上の理由で成功は許し難い。カラハミ大公から真実を聞き出さないと、事態が深刻になるかもしれない。大公に自白させれば、ロシアは無力化して、ゲームから撤退する。真実を探り、カラハミ大公から釈明を求めることが君の仕事だ」
「インドのことは何も知りませんが、ご命令とあれば何事も引き受けます」
 チャールズ・モーリィ卿が笑みを浮かべ、
「君を高く買っているので、余計な危険にさらすわけにいかん。仕事はロンドンで完結するよ」
「嬉しくないとは言いませんが、やり方が全く分かりません、チャールズ卿」
「カラハミ大公がロンドンにいるんだ」
「ええっ。新聞に書いてないとは変ですね」…

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