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斎藤茂吉の死を悲しむ
さいとうもきちのしをかなしむ |
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作品ID | 60885 |
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著者 | 吉井 勇 Ⓦ |
文字遣い | 旧字旧仮名 |
底本 |
「近代作家追悼文集成 第三十四巻」 ゆまに書房 1997(平成9)年1月24日 |
初出 | 「短歌研究 第十卷第四號」日本短歌社、1953(昭和28)年4月1日 |
入力者 | ネコステ |
校正者 | きりんの手紙 |
公開 / 更新 | 2022-02-25 / 2022-01-28 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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友の死を聞きししばらく京の夜の炬燵もさむくもの言はずけり
觀潮樓歌會に寄りし友おほく世を去りたるにわが茂吉また
如月の下浣の童馬忌來るごとに京の寒さもうべとおもはむ
われやなほ無頼なりしよ「赤光」のおひろの歌を愛でたるころは
淺草の觀音堂ををろがめる友の寫眞を取り出かなしむ
うで玉子買ひたる歌をおもふとき淺草夜空目にうかび來る
寛左千夫信綱茂吉と膝並めて歌つくりしも明治の末か
長崎に陳玉といふむすめゐて友と往きしもおもひでとなる
友の死を聞きて門邊にわれ乞へど遊行念佛僧いまだ來らず
二月堂の水取ちかし友の死をおもへばいとど寒さきびしく
友われの手を握りつつもの言ひし去年の最後のかの日思ふも
四十年を越ゆる交り思ひ居れば如意嶽おろし吹きてかなしき
京都にも君の弟子ゐてその死をば宗碵茂樹かなしみてゐむ