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暗い時間に
くらいじかんに
作品ID60911
著者片山 敏彦
文字遣い新字旧仮名
底本 「日本の詩歌 26 近代詩集」 中央公論社
1970(昭和45)年4月15日
入力者hitsuji
校正者染川隆俊
公開 / 更新2022-10-11 / 2022-09-26
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


空には
燃える秋の星がある。
地には天に向つて立つけやきがある。
葉の階層――剛い幹。年輪の多いあらい幹。
彼は、昼と夜、空間のひろがりの中で
思想である。流出である。
心に
不安がある。獣と共通な欲望がある。死を慕ふ憂欝がある。夢の記憶の破片がある。
全の感激に立ち上つて、それに交り込み
限界の輪廓を打ち砕きたい動律と火流とがある。
どこへ行くのか? 今それを思はない。
僕は
秋の夜の、目がぐらぐらするほどな
星の無数の穴を見上げて立つ。
一つの胸が、自分にある。



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