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装甲弾機
そうこうだんき
作品ID60967
著者萩原 恭次郎
文字遣い新字旧仮名
底本 「日本の詩歌 26 近代詩集」 中央公論社
1970(昭和45)年4月15日
初出「東京日日新聞」1922(大正11)年3月6日
入力者hitsuji
校正者染川隆俊
公開 / 更新2024-05-23 / 2024-05-13
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


近代的都市の飛躍雑踏中に
我は装甲の巨大なる弾機を見る
気まぐれなる煙りを吐き乍ら
鈍重なる無愛嬌者

彼は軍隊式に声を発し
都会の嗜好す
甘美や色彩や繊細を知らず
強い黄色の煙りを吐きちらし
都会をよごし気をわるくし
驚き易い心臓を圧迫さす

彼は弾丸や群集の心に従はない
最も真赤き野蛮な心臓をもつ
意のまゝ飽くまで
資本化した雑踏の世界に耐へ
混乱への強い強い出現!

おゝ 過敏なる女性美文明に
幅広い肩をゆるがす無愛嬌者
喜びも悲しみも現せない
醜い顔をして

されど彼が泣く如き
強き頑迷なる心臓の閃き!
彼が熱意!
彼が力量!
彼が破壊!
彼が創造!
彼がまことなる強力の運転!
文明への争闘!

あゝ 見る 我は現在!
巨大なる装甲の弾機!
美しき近代都市の飛躍雑踏中に



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