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深夜
しんや |
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作品ID | 60990 |
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著者 | 三富 朽葉 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「日本の詩歌 26 近代詩集」 中央公論社 1970(昭和45)年4月15日 |
入力者 | hitsuji |
校正者 | きりんの手紙 |
公開 / 更新 | 2022-08-14 / 2022-07-27 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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影と銀の乱れる夜へ
月は死葉を刈り立てる。
(魂は忍び音を聞く。)
虚空の淵に揺られる
星の瞳は鈴を響かす。
(魂は灰を見つめる。)――
渦巻く雲より覗く
烈しい闇の裸形。
(魂は火を失ふ。)――
いつも地平を逍ふ獣の群よ、
いつも雪の降る薄明りよ、
いつもわが閉ぢた窓に映る幻よ、
いつも暖をとる寒い魂よ、
いつも我を裏ぎる我の
心の罠よ 肉の恐怖よ。
いつもいつもつまづくわが神経のいらだたしさ……