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作品ID61068
著者中野 鈴子
文字遣い新字新仮名
底本 「中野鈴子全詩集」 フェニックス出版
1980(昭和55)年4月30日
初出「ゆきのした 第十四号」1956(昭和31)年2月10日号
入力者津村田悟
校正者かな とよみ
公開 / 更新2025-10-22 / 2025-10-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


足を伸ばす
体の横に手を垂れて
目を閉じる

ねむろうとして自分の呼吸を聞いている

かならず闇がおそいかかる夜というもの

夜はかならずきて
わたしはかならずねむったにちがいなかった
夜が来ればねむったであろう
そして夜
ねむれぬままにも
ねむったであろう

五十年の美しい昼と夜
一個の生きとし生きる者として
春の花
冬の雪にも
お前はいたのか

お前はいたのか
お前は赤ん坊でもあったのか
あのようにも美しい
桃のようでもあったのか

いまねむろうとして
夜の闇が
いま はじめて見るもののように冴えて来る



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