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国訳史記列伝
こくやくしきれつでん
作品ID61164
副題06 伍子胥列伝第六
06 ごししょれつでんだいろく
著者司馬 遷
翻訳者箭内 亙
文字遣い旧字旧仮名
底本 「國譯漢文大成 經子史部第十五卷 史記列傳」 東洋文化協會
1955(昭和30)年5月30日
入力者はまなかひとし
校正者
公開 / 更新2025-02-10 / 2025-02-09
長さの目安約 30 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

箭内亙による譯伍子胥は楚の人也。名は員。員の父を伍奢と曰ひ、員の兄を伍尚と曰ふ。其先を伍擧と曰ふ。(伍擧)直諫を以て楚の莊王に事へて、(一)顯なる有り、故に其後世、楚に名あり。楚の平王、太子有り、名を建と曰ふ。伍奢をして太傅たらしめ、費無忌をして少傅たらしむ。無忌、太子建に忠ならず。平王、無忌をして太子の爲めに婦を秦に取らしむ。秦の女、好し。無忌馳せ歸りて平王に報じて曰く、『秦の女絶だ美なり。王、自ら取りて更に太子の爲めに婦を取る可し』と。平王遂に自ら秦の女を取りて、絶だ之を愛幸し、子軫を生む。更に太子の爲めに婦を取る。無忌既に秦の女を以て自ら平王に媚び、因つて太子を去りて平王に事ふ。一旦平王卒して太子立たば己を殺さんことを恐れ、乃ち因つて太子建を讒す。建の母は蔡の女也。平王に寵なし。平王稍[#挿絵]益[#挿絵]建を疏んじ、建をして城父(ノ地)を守り(二)邊兵に備へしむ。之を頃くして、無忌、又、日夜、太子の(三)短を王に言つて曰く、『太子、秦の女の故を以て、(四)怨望無き※能[#こと、45-12]はず。願はくは王少しく自ら備へよ。太子、城父に居りて兵に將たりしより、外、諸[#挿絵]に交はり、且に入りて亂を爲さんと欲す』と。平王、乃ち其太傅伍奢を召して、之を(五)考問す。伍奢、無忌が太子を平王に讒するを知る。因つて曰く、『王、獨り奈何ぞ(六)讒賊の小臣を以て(七)骨肉の親を疏んずる』と。無忌曰く、『王、今(太子ヲ)制せずんば、其事成り、王且に(八)禽にせられんとす』と。是に於て平王、怒つて伍奢を囚へて、(九)城父の(一〇)司馬奮揚をして往いて太子を殺さしむ。行きて未だ至らず、奮揚、人をして先づ太子に告げしむらく、『太子、急に去れ、然らずんば將に誅せられんとす』と。太子建、亡げて宋に奔る。無忌、平王に言つて曰く、『伍奢、二子あり、皆賢なり。誅せずんば且に楚の憂を爲さんとす。其父を以て(一一)質として之を召す可し、然らずんば且に楚の患を爲さんとす』と。王、使をして伍奢に謂はしめて曰く、『能く汝の二子を(一二)致さば則ち生きん。能はずんば則ち死せん』と。伍奢曰く、『尚の人と爲りや仁、呼ばば必ず來らん。員の人と爲りや(一三)剛戻にして(一四)※[#「言+句」、U+8A3D、46-11]を忍び、能く大事を爲す。彼、來らば并せ禽にせらるるを見て、其勢必ず來らざらん』と。王聽かず。人をして二子を召さしめて曰く、『來らば吾、汝の父を生かさん。來らずんば今、奢を殺さん』と。伍尚、往かんと欲す。員曰く、『楚の・我が兄弟を召すは、以て我が父を生かさんと欲するに非ず。脱るる者有らば後患を生ぜんことを恐るるなり。故に父を以て質と爲し、詐つて二子を召すなり。二子到らば則ち父子倶に死せん。何ぞ父の死に益せん。(一五)往かば讎に報ずるを得ざらしめん耳。他國に奔り力を借り以て父の恥を雪ぐに如か…

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