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七里ヶ浜の哀歌
しちりがはまのあいか |
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作品ID | 61186 |
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著者 | 三角 錫子 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「日本唱歌集」 ワイド版岩波文庫、岩波書店 1991(平成3)年6月26日 |
入力者 | かな とよみ |
校正者 | The Creative CAT |
公開 / 更新 | 2023-01-23 / 2023-01-22 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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一 真白き富士の根 緑の江の島
仰ぎ見るも 今は涙
帰らぬ十二の 雄々しきみたまに
捧げまつる 胸と心
二 ボートは沈みぬ 千尋の海原
風も浪も 小さき腕に
力もつきはて 呼ぶ名は父母
恨は深し 七里が浜辺
三 み雪は咽びぬ 風さえ騒ぎて
月も星も 影をひそめ
みたまよ何処に 迷いておわすか
帰れ早く 母の胸に
四 みそらにかがやく 朝日のみ光り
暗にしずむ 親の心
黄金も宝も 何しに集めん
神よ早く 我も召せよ
五 雲間に昇りし 昨日の月影
今は見えぬ 人の姿
悲しさ余りて 寝られぬ枕に
響く波の おとも高し
六 帰らぬ浪路に 友よぶ千鳥に
我もこいし 失せし人よ
尽きせぬ恨に 泣くねは共々
今日もあすも 斯くてとわに
――明43・2発表