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サーベル礼讃
サーベルらいさん |
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作品ID | 61298 |
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著者 | 佐藤 春夫 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「天変動く 大震災と作家たち」 インパクト出版会 2011(平成23)年9月11日 |
初出 | 「改造 第五卷第十號」改造社、1923(大正12)年10月1日 |
入力者 | 持田和踏 |
校正者 | noriko saito |
公開 / 更新 | 2022-09-01 / 2022-08-27 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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小生が、今度の変事で最も感心したことは何と言っても軍人の威力である。――自然の威力に就ては何も今さらではないから。ところで一たい、天然の災害に対して剣つき銃の出動を俟たざるを得ざるかの如きは、その理由が何から発しているかを知らず最も不泰平の象ではあるまいか。邦家及び市民の名誉だなどとは決して誰も言うまい。しかもその軍隊が無かったら安寧秩序が保てなかったろうと考えさせられるのだから、この際、御同様、礼讃すべきものはやはり威光燦たるサーベルではあるまいか。さればこそ、恐らくは時代の先駆を以て自任するすべての雑誌などからは当分「所謂主義者」の名前などは影を没するであろう。如何でしょう、天下の雑誌経営者諸君。