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![]() おくのほそみち |
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作品ID | 61619 |
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副題 | 02 おくのほそ道 02 おくのほそみち |
著者 | 松尾 芭蕉 Ⓦ |
文字遣い | その他 |
底本 |
「芭蕉 おくのほそ道」 岩波版ほるぷ図書館文庫、岩波書店 1975(昭和45)年9月1日 |
初出 | 「おくのほそ道」岩波文庫、岩波書店、1957(昭和32)年2月25日 |
入力者 | 砂場清隆 |
校正者 | 木下聡 |
公開 / 更新 | 2024-10-12 / 2025-02-09 |
長さの目安 | 約 83 ページ(500字/頁で計算) |
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[#挿絵]
素龍清書本 おくのほそ道 (本文9頁參照)
[#改丁]
凡例
一 本書は『おくのほそ道』および門人曾良の『隨行日記』(ただし元祿二年九月一〇日以降の分は省略)を飜刻し、脚註を加えたものである。底本として前者は素龍清書本(福井縣愛發村、西村弘明氏藏)、後者は曾良自筆本(校註者藏)を用いた。兩者についての詳細は解説にゆずる。
一 飜刻にあたっては左の要領によった。
1 行移り・丁うつりは註しない。ただし、『おくのほそ道』は適宜章段を設け、その各に見出しをつけ、『隨行日記』では日附變更の個所をはじめ通讀に便と思われる個所は適宜改行する。また、本文の見出しの下に『隨行日記』の參照個所の所在頁數を入れて示す。
2 異體の文字は原則として通行のものに改める。『隨行日記』中の平假名・片假名の混用もできるだけ原本通りとするが、「ニ」「ハ」「ミ」等は原則として平假名にあつかう。
3 振り假名・清濁・句讀・會話文のカッコ等は校訂者によってほどこす。その際、原本に動詞の活用語尾を表記してないものは、活用語尾をも振り假名の中に含める。また『隨行日記』中に稀に見える濁點の表記はその右傍に(マヽ)と註記して區別する。
4 假名づかいは原文のままとし右傍のカッコ内に歴史的假名づかいを示すか、又は脚註に註記する。
5 『隨行日記』中の見せ消ちの部分は左傍にヒヒヒヒの符號をつける。また日記中の略圖と上欄に書き込まれた※[#白い長方形、U+25AD、4-3]※[#垂直二等分線のある白い長方形、4-3]の符號は摸寫縮小して掲げる。鰭紙は貼られた場所をその行の上に[#挿絵]で示し、その文言は本文中に[#挿絵]の印をつけて示す。
一 註・解説は引用文以外現代假名づかいを用いた。また、註は紙幅の都合により最少限度にとどめた。その際、古註・新註の多くを參照引用したがその旨註記する餘裕がなかった。ここに謝意を表する次第である。
[#改丁]
[#ページの左右中央]
おくのほそ道
[#改丁]
冒頭
一月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ馬の口とらえて老をむかふる物は、日[#挿絵]旅にして旅を栖とす。二古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず海濱にさすらへ、三去年の秋四江上の破屋に蜘の古巣をはらひて、やゝ年も暮春立る霞の空に白川の關こえんと、五そゞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて取もの手につかず、もゝ引の破をつゞり笠の緒付かえて、三里に灸すゆるより松嶋の月先心にかゝりて、住る方は人に讓り六杉風が別墅に移るに、
草の戸も住替る代ぞひなの家
七面八句を庵の柱に懸置。
一 李白の春夜宴二諸從弟桃李園一序「夫天地者萬物之逆旅、光陰者百代之過客、而浮世若レ夢、爲レ歡幾何」(古文眞寶後集)による。…