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ドレントン・デン特派員の冒険
ドレントン・デンとくはいんのぼうけん
作品ID61815
副題04 第四回 灰
04 だいよんかい はい
著者ホワイト フレッド・M
翻訳者奥 増夫
文字遣い新字新仮名
初出1900年
入力者奥増夫
校正者
公開 / 更新2022-10-04 / 2022-09-26
長さの目安約 25 ページ(500字/頁で計算)

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本文より



「獲物の山分けには間に合ったが、銃撃戦には遅すぎたな」
 とデンが言った。
 デンの指し示す先に恐ろしい光景が、相棒のハウスマンの前にあった。敏腕記者デンはかつてキューバ取材でちょっぴり残酷な場面を目撃したけど、身の毛がよだつのも無理はない。一方の相棒のハウスマンは草ぶき小屋の陰に倒れ込んでいた。大きな手足も今や単なる飾りに過ぎない。
 ハウスマンがあえいだ。
「キニーネをくれ。ああ、ひどい吐き気がする」
 デンが四〇ポンドもする元気の素キニーネ粉末をたっぷり渡すと、相棒のハウスマンがゴボッゴボッと吸い込んだ。渇いた喉には痛かった。
 二人の肌はかさかさに乾燥し、周囲の暑さと言ったらボイラーなみ、日陰でも温度計は摂氏五〇度を指している。
 デンが感情を抑えて言った。
「男を上げる良い場所だ。君の弱点は、こんなへんぴな所で病気になることだな。俺を見ろ」
 ハウスマンがうめいた。
「お前は赤毛の野獣だ。力が出せたら殴りたいぐらいだぜ。せめて一杯の水があればなあ……」
「俺達は水を探しに来たんじゃない。ここへ来たのは象牙のためだ」
 ハウスマンが弱った腕を振って、おおざっぱに村の方を指差した。それなりに大きい村であり、小屋が百〜二百戸ばかり、滑稽な祈祷所が二棟、酋長の宮殿が一棟。柵で村を囲っている。
 どの小屋の杭も、先端が尖り、黄色い色をしており、太陽の地獄火に照らされて、きらきら光っている。祈祷所や宮殿すら、尖った黄色い杭で創られている。
 ハウスマンがぶつぶつ言った。
「あれだ。忌まわしい突起の一つ一つが無傷の象牙だ。お前のたわごとじゃなく、正真正銘の象牙だ。少なくとも数万本、重さにして五百トンあるぜ。一杯の水で俺の分をくれてやらあ」
 ハウスマンがキニーネを噛んでうめいた。六週間、デンと一緒にコンゴ自由国の周辺をうろつき、本物の宝庫を探してきた。
 二人の見るところ、ブリュッセルにあるキング・レオポルド社の人間が、この象牙村を嗅ぎつけた気配はない。
 この村のことは現地人から聞き出したのだが、なかなか本当のことを言わないものだから、ジン酒を二本、特許品の肉切り包丁一本を取引に使った。
 現地人のラマニが同意し、ハウスマンを村に案内した藪道は残忍なベルギー人に知られておらず、確実に取引が成立するはずだった。
 そこにデンが一緒に行くと飛びついた。デンが言うに、コンゴ川のボマ周辺に重大な不正があり、夏期は記録的な灼熱地獄になり、これにたっぷり薬味を振りかければ、自社新聞の部数を増やせるし、それに自分には自由裁量権があるとか。
 ハウスマンはデンみたいな相棒なら反対しなかった。
 六週間、深いシャズ森の周りを進み、常にユニユニ火山の頂を見る位置にいた。この火山は今も、いや何年も眠っており、シャズ森が眼前に広がっている。ハウスマンは森を近道したが、現地人のラ…

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