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ドレントン・デン特派員の冒険
ドレントン・デンとくはいんのぼうけん
作品ID62015
副題05 第五回 巨大純白蛾
05 だいごかい きょだいじゅんぱくが
原題The Great White Moth
著者ホワイト フレッド・M
翻訳者奥 増夫
文字遣い新字新仮名
初出1904年
入力者奥増夫
校正者
公開 / 更新2022-11-02 / 2022-10-31
長さの目安約 19 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#挿絵]



 本件は謎と冒険の臭いがする。そういうことならドレントン・デン特派員が準備万端だ。シャズ山の森でぶらぶらして、当てのない迎え便を待つよりずっといい。
 連れのグラスゴウという男は、奥地貿易に従事し、たったいま冒険旅行から帰って来たばかりだった。
「ここは中央アフリカの裏口だ。ノックの必要はない。君、はいるかい」
 とグラスゴウ。
「珍品が手にはいったのか」
 グラスゴウがニヤリ。五年も歯を食いしばって無駄に生きちゃいない。この屈強なスコットランド人の焼け具合はまるで褐色ブロンズ、あご髭はヤギ並のもじゃもじゃ。
「君が今まで見たこともないブツだと請け合うぜ。今回はアラ山密林を横断するおそらく最後の旅だろう。前回は危険だったが、うまくやった。どうだい、このシロモノは」
 荷物からグラスゴウが羽毛を取りだした。真っ白な羽根で、長さ六十センチ、最高の肌触りだ。得も言われぬほど柔らかい感触で、それをグラスゴウがひらひら振ると、落水が繊細に散るようにキラキラ輝いた。
[#挿絵]
 デンが大声でほめちぎった。
「たまげたなあ。世界一のダチョウ尾っぽも、これに比べりゃ掃除たわしだ。もっとあるのかい」
「あの袋に一万枚あるぞ。笑わば笑え。広げると小さなテーブルクロス程だが、ポケットに六枚も楽々はいる。見ろ」
 とびきり美しい羽毛を丸めると、ビー玉より小さくなった。再び広げても、羽毛の輝く光沢と、優美な美しさは全く損なわれていなかった。
 グラスゴウが続けて、
「八枚で重さは三十グラムだ。とても丈夫だよ。英国に持っていけばひと騒動だろう」
「君はそれで稼げる。どうだい一つ、その羽毛の鳥を見せてくれないか」
「あのな、この羽毛は鳥じゃないんだ。どんな生物か、全く知らないんだよ。俺はアラ族と今とても良い関係だ。奴らが持ってきてくれるけど、入手先は知らない。召使いのチャンが全てやってくれる。でも羽毛のことを聞こうものなら、オビ神とか何かの呪文を唱え、何日も口をきかなくなる」
 デンは、気丈に振る舞っていたが、心臓はドキドキだった。
「でかしたな。二人でアラ山へ行こう。何だか知らないが、その鳥を見てやる。願ったりの冒険になるぞ」
 グラスゴウが同意した。グラスゴウはほとんど気づかなかったが、デンは暢気に危ないことを考えていた。もし気づいていれば、慎重なスコットランド人のグラスゴウは一人で森を横断しただろう。
「鳥を見ようとしたことはないのかい」
「ないよ。ここに来たのはカネの為だ。現地人を使って稼いでいる。あっちには奇妙で、悪魔みたいなことがたくさんあるし、日光で真っ白になった白人の骨もいっぱいある。嗅ぎ回り過ぎたのさ。あそこでは好奇心が命取りだ」

 一行は翌朝の夜明けに出発し、キャンプを信頼できる二人の現地人に預け、グラスゴウの忠実な召使いのチャンを同行させた。…

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