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トリガーセンの妻
トリガーセンのつま
作品ID62059
副題コーンウォール物語
コーンウォールものがたり
原題TREGARTHEN'S WIFE
著者ホワイト フレッド・M
翻訳者奥 増夫
文字遣い新字新仮名
初出1901年
入力者奥増夫
校正者
公開 / 更新2022-12-02 / 2022-11-28
長さの目安約 426 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

主な登場人物
メアリ     主人公
ミリアム    新聞社主
ホークス    漁師の船頭
トリガーセン  島の支配者
トリタイア   乳兄弟
トリガース   教区長
ナオミ     島の老女
ルース     ナオミの姪
ガイ牧師    雇われ牧師
ジュリアン医師 島の医師
モード嬢    アイルランド人
カットリス技師 橋の建設技師
ビショップ   漁師
プレスコット  技術者
マッスン親方  橋建設の元締め
フィンレイ   不満労務者

[#改ページ]
[#ページの左右中央]

コーンウォール物語

[#改ページ]

第一章 休眠庭園
 休眠庭園にはヒナゲシ一輪も咲いていないけれど、時季に訪れたら、多くの花々がある。その時季とは、皆が吹雪を話題にし、子供達が十二夜のケーキにつかの間そわそわする頃だ。
 このとき、トリガーセン島は花々が華やぎ、大花壇となる。ラッパスイセンやキズイセンが頭を垂れ、サボテン生け垣の軒下で、高貴な紫スミレが良い香りを漂わせる。ごうごうと押し寄せる大西洋の大波に、花々が揺れなびき、咲き誇る。
 そこはどこ? どうした?
 場所はティンタジェルからそんなに遠くなく、住人はアーサー王物語を話し、島の中央には大りんご園があり、そこでランスロットが殺したドラゴンの歯は燃える剣のようだったとか。そこにもグラジオラスが真っ赤に咲いている。
 トリガーセン島は緑豊かで快適な細長い離れ島であり、長さ13[#挿絵]、幅8[#挿絵]。東と北は切り立った高さ30[#挿絵]の花崗岩の崖で守られ、聞こえる音は大西洋の海鳴りと夥しい海鳥の鳴き声。潟湖にも花壇があり、広大な砂浜はアフロディティの金髪のようで、空が青く全天に溶け合っているので、目をそらし、ただ恍惚の喜びに浸るのみだ。じきに、海辺の王国がどんなものか知ることになろう。
 お嬢が言った。
「ミリアム、ここは天国ですね」
 ミリアムは持参した黒い小箱に損傷がないことを願った。お嬢が良く通る甲高い声で言ったことは見当違いだった。
 どうでもいいことだが、二人を運んでくれたトリボース村の漁師はちょっと野暮ったくないか。果たしてミリアムは気付いていたか、漁師の分厚い胸板、碧眼、日焼けした褐色の肌、白いあごひげの、何と素晴らしいことよ。
 お嬢は小箱が陸揚げされるのをじっと見ていた。お嬢はお嬢様以外の何物でもないから当然、衣装は豪華だ。ここらの地域では誰もあんな衣装は今まで見たことはないし、プリマスやエクセタのような大都市を旅行した者ですらそうだ。

[#挿絵]

 お嬢は背が高く、美形、瞳は海のように青く、髪は上陸した砂浜のように金色。征服民族の娘のように横柄に振る舞い、指にはダイヤ、耳にはサンゴをつけている。化粧室で秘密を学んだ女性なら、混色毛織コートや、銀留金ベルトで締めたスカートはパリでしか買えない代…

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