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短歌
たんか |
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作品ID | 7925 |
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著者 | 宮本 百合子 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「宮本百合子全集 第二十九巻」 新日本出版社 1981(昭和56)年12月25日初版 |
初出 | 「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日 |
入力者 | 柴田卓治 |
校正者 | 土屋隆 |
公開 / 更新 | 2009-04-02 / 2014-09-21 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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少し、読みためたのを、人に見てもらう。
母は、万葉調のが上手で、十一の時から詠んで居たから、流石に巧い。
私のとは、まるで気持が違う。
自分でよんで、自分でうっとりする様な歌は、どうしても、まだ未熟な私には、出て来て呉れない、それが口惜しい。
どうにでもうまく一つやらねばならないと思うと、じいっと座って居られない様な気持になって来る。
雑誌をよんだり、短歌集を引き出して見たりしても、どうしても、ハーッと思う様なのが見つからない。
情ない様な気がする。
腹が立った様な気持になって、さっきまで、何となし気が軽くて、母に甘ったれたり、笑ったりして居たのに、もうすっかり気が重くなって、只、短歌の事ばっかり考えて居る。
何も彼も、そう熱中しないでもよさそうではあるけれ共、どうせ、少し真似事位出来るなら達者になりたいと思う。こんな事にでも私の人にまけたくない気持が現れる。