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希望
きぼう
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集23」 岩波書店
1990(平成2)年12月7日
初出「行動文学 第一巻第一号」西東書林、1936(昭和11)年6月1日
入力者tatsuki
校正者小林繁雄、門田裕志
公開 / 更新2005-03-31 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 私は不勉強で行動主義の何であるかといふことを今日まで余り注意しないでボンヤリしてゐた。唯行動主義といふ言葉で自分勝手の概念を作つてゐたやうなわけで、非常に誤つた考へ方をしてゐたかも知れない。がかりにその言葉だけから考へても、私にとつて全く魅力のない言葉ではなかつた。といふのは、長い間ものを書いて衣食としてゐながら、今日の自分の生活に充されないものが多いことを感じてゐる。今日まで、文学がすべてである。文学が生命であると、さういふ考へ方に溺れてゐたことが非常に不覚であつたといふ考へ方に傾いてきた。その矢先であるからあの行動主義といふものが、少くとも私にはやゝ身ぶりの大げさな言葉のやうには考へられたけれども、しかしその基調の中には何か教へられるところがあらうと思つてゐた。舟橋君とは種々の関係から親しいのだが、逢ふ度毎にいろ/\話を聞いて啓発されてゐる。今後は雑誌が出来て一層その問題にたいする理解を深められることと思ふ。従つてその文学行動に対して、何か自分に役割が果せるならば、参加したいと思ふ。私の希望としては、こちらから注文をつけるといふのでなく、むしろその雑誌の続刊に依つて自分が教へられることを望んでゐる次第である。



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