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文学座第二回試演に際して
ぶんがくざだいにかいしえんにさいして
作品ID44611
著者岸田 国士
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集24」 岩波書店
1991(平成3)年3月8日
初出「文学座第2回試演 パンフレット」1938(昭和13)年6月6日
入力者tatsuki
校正者小林繁雄、門田裕志
公開 / 更新2005-04-21 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 幹事の一人として一言します。
 文学座はおかげで順調に日立ちつゝあることを先づみなさんに報告したいと思ひます。劇団の精神といふやうなものも、次第にはつきりして来ることでせう。これは、宣言めいた空文によつて現はされるものではなく、座員めいめいの仕事に対する熱情と自信から生れて来るものですから、何れは舞台の上で実を結ぶことゝ大いに期待してゐる次第です。
 第一回の試演を観て下さつた方もあると思ひますが、劇壇一部の人々は、この試演といふ意味を正当に理解せず、われわれの企図するところを軽率に見逃したやうです。これは間に合せの、ごまかしの、「点取り主義」の新劇舞台に馴らされた眼には、至極もつともなことで、文学座の現在行ひつゝあるトレイニング、基本練習にはさぞかし興味がもてまいと察せられるのです。
 しかし、ほんたうの芝居好き、芸術を心で感じ得る人達なら、われわれの稚拙な運動こそ、まことに、新劇が「大人」になるための唯一の健康な道であることを認める筈です。
 演劇は演劇によつて楽しませるものでなければなりません。演劇独自の「方法」をこの時代に探し求めることは容易な業ではないのです。
 とは言へ、私は、自分も含めて、誰をも弁護するつもりはありません。一つの結果は結果に違ひないからです。
 第一回の試演に不満を感じられ、または興味をもたれた諸君は、今度の試演の結果についても、更に忌憚のない批評をして下さることを希望します。



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