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今度の出し物について
こんどのだしものについて
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集24」 岩波書店
1991(平成3)年3月8日
初出「文学座第2回試演 パンフレット」1938(昭和13)年6月6日
入力者tatsuki
校正者小林繁雄、門田裕志
公開 / 更新2005-04-21 / 2014-09-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 岡田禎子さんの「クラス会」は、一読してこれはなかなか面白いものだと思つた。女ばかりの舞台といふ仕組みはともかく、女でなければ書けない心理と情景のニユアンスが、みごとに私を捉へた。女優さんたちの「練習曲」としても相当歯ごたへのある、恰好なものであるし、これに男ばかりの舞台を一幕並べることにでもしたら、ちよつと変つた趣向ではあるまいかと、瞬間、興行師の頭になる。
 ところが、次に、徳川夢声君といふ難物のために、稽古の便を計つて、小人数の一幕を考へねばならぬ段になり、ふと頭に浮んだのが、辰野氏の「父と子」である。これが偶然、誂へ向きの男ばかりとは、少々くすぐつたい次第であつた。
 さて、もう一つは、小山祐士君の「魚族」であるが、これは、同作者の代表作「瀬戸内海の子供ら」の「妹」たるべき佳作で、みつちり稽古のし甲斐のあるものである。なにぶん登場人物が多く、その上、写実味のあふれたこの芝居では、年配も一座の俳優では無理だとわかつてゐながら、敢てやることにしたのは、幸ひ、東山、毛利両女史の客演を得たからである。
 その代り、当てにしてゐた堀越、中村、宮口の諸君が何れも、病気その他で出られなくなつたことは、全体の配役に齟齬を生じた。未経験の研究生を一人、臨時に使つてみた。
「クラス会」は久保田万太郎氏が、「父と子」は岩田豊雄氏が、何れも自ら演出を買つて出たといふことを特筆せねばならぬ。
 私は、実は、健康を慮り、今度は演出の役はごめん蒙りたかつたのだが、岩田幹事がたつてやれといふので止むを得ず引き受けた。田中千禾夫君と作者自身とが、私の及ばないところを手伝つてくれた。



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