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三保寮を訪ふ
みほりょうをおとなう
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集24」 岩波書店
1991(平成3)年3月8日
初出「文学界 第五巻第十号」1938(昭和13)年10月1日
入力者tatsuki
校正者門田裕志
公開 / 更新2009-12-18 / 2014-09-21
長さの目安約 8 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 夏前からの約束で、私はこの三日に、静岡県三保海岸にある国際学友会のサンマーハウスを訪れた。目的は、同会「収容指導」の留学生諸君のために、この夏開かれた日本文化講座の一科目として、日本の演劇の話をするためであつた。
 この国際学友会といふのは、外務省の斡旋で昭和十年に創設され、その事業の遂行機関たる国際学友会館は西大久保にあるのださうだが、私は、そつちのことはよく知らない。昨年度の会報をみると、最初は二十九名の留学生を収容してゐたものが、今日では五十名を超え、これを国別にすると、シヤム、アフガニスタン、印度、蘭領印度、コロンビヤ、比律賓、アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、これに若干の日系米人及び海外に宣伝する日本人といふことになつてゐる。
 留学生の志望学科といふ一覧表によると、警察制度、水産商業、紡績、工業、機械工業、鉱山業、土木、医学、歯科、体育、航空学等がそれぞれ、二乃至十三といふ数を占め、演劇史、美術、文学が、何れも一名づゝある。
 参考のために、同会設立趣意書を左に写してみる。

     国際学友会設立趣意書

 方今世界各国ノ識者眼ヲ東方ニ注キ特ニ日本ヲ研究セムトスル機運顕著ナルモノアリ、隣邦中華民国及満洲国ヨリ夙ニ多数ノ学生本邦ニ留学セルハ周知ノ事実ナルカ近時諸外国人ノ親シク本邦ニ来リ学フモノ亦尠ナカラス就中東方諸国例ヘハ暹羅、比律賓、印度、阿富汗、爪哇等ヨリノ留学生日ニ多キヲ加ヘ更ニ本邦ニ於ケル外国留学生ニ関スル施設如何ニヨリ将来益々増加セムトスルノ趨勢ニアリ外国青年子弟ノ本邦留学ニ際シ必要ノ施設ヲ講シテ之ヲ斡旋善導シ其ノ業ヲ成サシムルハ実ニ人類文化ノ発展ニ貢献セントスル文明国家ノ責務タルト共ニ延テハ国際ノ融和ヲ増進シ通商ヲ円滑ナラシムル所以ナリ、之ヲ以テカ欧米列国ハ夙ニ莫大ナル費用ヲ投シテ外国留学生ノ為ニ官民協力諸般ノ施設ヲ行ヒツヽアリ
 本邦既存ノ斯種ノ施設ハ主トシテ中華民国及満洲国学生ヲ目的トスルモノニシテ諸外国殊ニ前記東方諸国ヨリノ留学生ニ適応スルモノニ至リテハ殆ト皆無ニ近キ現状ナリ蓋シ従来本邦ニ留学スルモノ満支両国青年子弟ノ外多カラサリシ実情ニ顕ミ或ハ已ムヲ得サリシ所ナルヘキモ今ヤ帝国ノ国際的地位益々揚リ我伝統ノ文化ハ泰西文明ノ吸収ト相俟チ愈々光輝ヲ発シ諸外国ノ青年子弟相率ヰテ本邦ニ留学シ今後益々其ノ数ヲ増サムトスル現勢ニ鑑ミ本邦ニ於テ之ニ必要ナル施設ヲ講シ以テ是等学生ヲシテ安シテ学ヲ励マシムルハ刻下ノ緊喫事タリ
 如上ノ事態ニ鑑ミ茲ニ国際学友会ヲ組織シテ諸外国特ニ東方諸国留日学生ノ保護善導ヲ計リ是等学生ニ対シ日常生活ノ便宜ノ供与、日本語ノ学習、本邦諸学校入学ノ斡旋等勉学上ノ援助其ノ他之カ指導啓発ニ必要ナル各種ノ事業ヲ行フヘキ中心機関タル会館ヲ設立経営セムトス固ヨリ本企画タルヤ其ノ性質上之カ遂行ハ容易ニ非スト雖モ官民協力将来ニ於テ…

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