えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


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男の顔
おとこのかお
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「日本怪談大全 第二巻 幽霊の館」 国書刊行会
1995(平成7)年8月2日
入力者川山隆
校正者門田裕志
公開 / 更新2012-06-30 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


 季節は何時であったか聞きもらしたが、市ヶ谷八幡の境内で、壮い男と女が話していた。話しながら女の方は、見るともなしに顔をあげて、頭の上になった銀杏の枝葉を見た。すると、青葉の間に壮い男の顔があって、じっと女の顔を見つめた。それは、その女のもとの情人で、先年病死した男の顔であった。女はびっくりして倒れようとした。男は驚いて、女の体を抱きすくめるようにして、銀杏の枝に眼をやった。青葉の間の男の顔は依然としてこちらを見ていたが再び見なおした時には、もう見えなかった。



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