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凍土を噛む
とうどをかむ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」 新日本出版社
1987(昭和62)年6月30日
初出「プロレタリア文学」1932(昭和7)年2月号
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2014-06-15 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


土に噛りついても故国は遠い
負いつ 負われつ
おれもおまえも負傷した兵士
おまえが先か
おれが先か
おれもおまえも知らない
おれたちは故国へ帰ろう
おれたちは同じ仲間のものだ
お前を助けるのは俺
俺を助けるのはお前だ
おれたちは故国へ帰ろう
この北満の凍土の上に
おれとお前の血は流れて凍る
おお赤い血
真紅のおれたちの血の氷柱

おれたちは千里のこなたに凍土を噛む
故国はおれたちをバンザイと見送りはしたが
ほんとうに喜こんで見送った奴は
俺達の仲間ではない
おれたちは屠殺場へ送られてきた


牛だ!
いつ殺されるかも知らない
おれたちは今殺されかけている

おれたちは故国へ帰ろう
土に噛りついても故国は遠い
だがおれたちは故国へ帰ろう
戦争とはこういうものだ
戦地ではおれたちの仲間がどうして殺されたか
あんな罪もない者を
殺すのがどんなに嫌でも
何故殺せと命ずるのか
殺す相手も
殺される相手も
同じ労働者の仲間
おれたちにはいま仲間を殺す理由はない
この戦争をやめろ

兵士は故国へ
おれたちの仲間
中国の仲間
そしてソヴェート・ロシアの仲間の
共同の戦線こそ勝利を固めよ

おお おれたちは今銃創の苦るしさに凍土を噛み
傷口から垂れた血の氷柱を砕きつつ
故国の仲間に呼びかけたい
おれたちは故国へ帰ろう
お前もおれもがんばろう
(『プロレタリア文学』一九三二年二月号に発表『今野大力・今村恒夫詩集』改訂版を底本)



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