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![]() じゅうごやおつきさん |
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作品ID | 1757 |
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著者 | 野口 雨情 Ⓦ |
文字遣い | 旧字旧仮名 |
底本 |
「定本 野口雨情 第三巻」 未来社 1986(昭和61)年3月25日 |
入力者 | 大野晋 |
校正者 | 林幸雄 |
公開 / 更新 | 2002-05-29 / 2016-05-17 |
長さの目安 | 約 15 ページ(500字/頁で計算) |
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蜀黍畑
お背戸の 親なし
はね釣瓶
海山 千里に
風が吹く
蜀黍畑も
日が暮れた
鶏 さがしに
往かないか。
螢の提灯
螢の提灯光つてる
ぴかん ぴかん光つてる
早くみんなで追つかけよう
螢の提灯考へた
ぴかん ぴかん考へた
早く提灯とつちまい
螢の提灯消えちやつた
つーん つーん消えちやつた
早く蝋燭見せてやれ。
豊作唄
山椒 山椒の木で
雀が啼いた
足で 山椒踏んで
山椒の木で啼いた
豆も 小豆も
莢から はしる
麦も 小麦も
みな たれさがる
山椒 山椒の木で
雀が啼いた
山椒 山椒踏んで
山椒の木で啼いた
日傘
わかれた 母さん
日傘
物言うて くだされ
日傘
お背戸に 風吹く
篠籔は
烏に 喰はれた
烏瓜
母さん わたしも
日傘
物言うて くだされ
日傘
九官鳥
九官鳥に
君が代唄はせよう
「千代に八千代」に
唄はせよう
鸚鵡に
君が代唄はせよう
「巖となりて」と
唄はせよう
わたしも
君が代唄ひませう
「レ・ド・レ・ミ・
ソ・ミ・レ」と
唄ひませう。
信田の籔
お背戸の お背戸の
赤蜻蛉
狐の お噺
聞かせませう
糸機 七年
織りました
信田の 狐は
親狐
信田の お背戸の
ふるさとで
子供に こがれた
親狐
お背戸の お背戸の
赤蜻蛉
明日も お籔に
来てとまれ。
虹の橋
あつちの町と
こつちの町と
太鼓橋かけた
赤い草履はいて
みんなで渡らう
あの子も 渡れ
この子も 渡れ
仲よく渡れ
虹の橋 高いぞ
手手ひいて渡れ。
人形屋
人形屋の
小母さん
髪結つてた
元結で
むすんで
髪結つてた
人形にも
いい髪
結つておやり
元結で
むすんで
結つておやり。
雨夜の傘
雨夜の
傘
蛇の目傘
文福茶釜は
化け茶釜
お寺の釣瓶も
化け釣瓶
雨夜に
傘
さして来た。
燕
燕の母さん
洒落母さん
そろひの簪
買つてやろ
牛乳屋の表に遊んでた
母さん燕は洒落母さん
トマト畑
雨降り雲は
なぜ来ない
トマト畑が
みな枯れる
トマト畑に
太陽は
じりりじりりと
照らしてる
雨降り雲は
なぜ来ない
トマト畑が
みな枯れる
トマト畑の
百姓は
赤いトマトを
眺めてる。
烏と地蔵さん
石の地蔵さん
居ねむりしてた
にこりにこりと
居ねむりしてた
烏アときどき
団子見て啼いた
石の団子で
盗つても駄目だ
石の地蔵さん
駄目団子もつてた
にこりにこりと
駄目団子もつてた。
冬の日
(茨城でうまれた文ちやんの唄)
ここの屋敷は
空屋敷
文ちやんうまれた 茨城の
元の屋敷も
空屋敷
ここの畑は
桐畑
文ちやんうまれた 茨城の
背戸の畑も
桐畑
ここの姉さん
日和下駄
文ちやんうまれた 茨城の…