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無名会の一夕
むめいかいのいっせき
作品ID48150
著者石川 啄木
文字遣い旧字旧仮名
底本 「啄木全集 第十卷」 岩波書店
1961(昭和36)年8月10日
入力者蒋龍
校正者阿部哲也
公開 / 更新2012-05-10 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 この頃の短い小説には、よく、若い人達の自由な集會――文學者とか、新聞雜誌の記者とか、會社員とか、畫家とか、乃至は貧乏華族の息子とか、芝居好の金持の若旦那とか――各自新しい時代の空氣を人先に吸つてゐると思ふ種々の人が、時々日を期して寄つて、勝手な話をする會の事を書いたのがある。さういふのを讀む毎に、私は「ああ、此處にも我々のやうな情ない仲間がゐる。」と思はずにはゐられない。さうして、其作者の筆が少しでもさうした集會の有樣を、興味か同情かで誇張して書いてあれば、私は又、自分を愍むと同じ愍みを以て其人を見るか、でなければあの魚の目よりも冷たい目を持つた、諷刺家の一人ではあるまいかと疑はずにはゐられない。〔以下斷絶〕



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