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極楽とんぼ
ごくらくとんぼ
作品ID49169
著者野口 雨情
文字遣い新字旧仮名
底本 「定本 野口雨情 第一巻」 未来社
1985(昭和60)年11月20日
初出但馬山国「曠野」1924(大正13)年5月、暴風の夜「若き文化」1922(大正11)年5月、難波の鴎「婦人世界」1923(大正12)年6月、若葉の月「詩人倶楽部」1923(大正12)年6月、かなしい海「婦人世界」1923(大正12)年8月、ジプシーの歌(原題 ジプシーの唄)「かなりや」1922(大正11)年3月、芒の蔭(原題 迷ひ子さがしの唄)「現代」1921(大正10)年11月、すさみ心(原題 うんと飲みませうか)「かなりや」1922(大正11)年3月、黒のソフトさん「かなりや」1921(大正10)年12月、お三大星さま「婦人世界」1923(大正12)年11月、佐渡が島「金の星」1923(大正12)年9月、出船(原題 沖は時雨か)「雄弁」1923(大正12)年9月、鵯が来る「婦人倶楽部」1924(大正13)年1月、青い月夜「愛唱」1923(大正12)年6月、焦土の帝都「現代」1923(大正12)年10月
入力者川山隆
校正者noriko saito
公開 / 更新2010-05-07 / 2014-09-21
長さの目安約 19 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

著者より


 うるほひのない生活は死灰である。人生は死灰ではなかつた。

 民謡は、ただちに民衆と握手し、民族生活の情緒をつたふ唯一の郷土詩であり、土の自然詩である。

 民衆の握手もなく、人生にもたらすうるほひもなく、郷土的色彩もなき作品は、われらの欲する詩ではなかつた。

 極楽蜻蛉は、いささかなりとも民族生活の情緒をつたへたい、わが小民謡集である。

 民謡は、心読の詩ではない、耳の詩である、音楽である。本集には本居長世、中山晋平両氏の作曲による作品が多い。藤井清水氏の作曲による作品も十数篇ある。そのほか、梁田貞、室崎琴月両氏の作曲。佐藤千夜子外二三嬢の作曲による作品も数篇加へてある。

 こころの涸渇は民謡によつて救はれ、民衆の感情も民謡によつて救はれるのである。民謡は社会教化の上にも、強い力をもつてゐたのであつた。

 民謡は限られた階級文芸ではない。土の上の詩人によつて発見される民衆の詩である。

 民謡は国民詩である。
[#改ページ]

旅人の唄


山は高いし
    野はただ広し
一人とぼとぼ
    旅路の長さ

かはく暇なく
    涙は落ちて
恋しきものは
    故郷の空よ

今日も夕日の
    落ちゆくさきは
どこの国やら
    果さへ知れず

水の流れよ
    浮寝の鳥よ
遠い故郷の
    恋しき空よ

明日も夕日の
    落ちゆくさきは
どこの国かよ
    果さへ知れず

(旅人の唄は劇団舞台協会「復活」登場のための作である)


船頭小唄




おれは河原の
    枯れすすき
同じお前も
    枯れすすき

どうせ二人は
    この世では
花の咲かない
    枯れすすき



死ぬも生きるも
    ねーお前
水の流れに
    何に変ろ

おれもお前も
    利根川の
船の船頭で
    暮らさうよ



枯れた真菰に
    照らしてる
潮来出島の
    お月さん

わたしやこれから
    利根川の
船の船頭で
    暮らすのよ



なぜに冷たい
    吹く風が
枯れたすすきの
    二人ゆゑ

熱い涙の
    出たときは
汲んでお呉れよ
    お月さん



どうせ二人は
    この世では
花の咲かない
    枯れすすき

水を枕に
    利根川の
船の船頭で
    暮らさうよ


江戸祭歌


江戸の生粋
    神田の市場
わたしや神田の
    唄人よ 唄人よ
  江戸祭 ヨイヨイヨイ

三天王の
    氏神様は
今日のお土産
    笹団子 笹団子
  江戸祭 ヨイヨイヨイ

遠い昔が
    しのばるる
神田五個町
    江戸祭 江戸祭
  江戸祭 ヨイヨイヨイ

(江戸祭歌は神田明神祭礼のための作である)


故郷の歌


歌へ恋しき
    …

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