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私の仕事 松篁の仕事
わたしのしごと しょうこうのしごと |
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作品ID | 49722 |
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著者 | 上村 松園 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「青帛の仙女」 同朋舎出版 1996(平成8)年4月5日 |
初出 | 「都市と芸術」1924(大正13)年12月号 |
入力者 | 川山隆 |
校正者 | 鈴木厚司 |
公開 / 更新 | 2009-03-26 / 2014-09-21 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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二十年来の画債整理と、皇后陛下よりの御用命に依り、双幅藤原時代美人数名の揮亳完成を期するために、今度は是非に謹製致したいと思いながら、遂に三年許りの歳月が過ぎて了いました。今年は是非共献上致さねばなりませぬので、只今下絵浄書中でございます。何分いろいろの画債が積って居りますので、たとえ半分なりとも片付けられたら又出品画という様なものにも手を付けて見たいと思います。何分少少は落付いた気分で描かなければ公開すべき大作などは出来ません。
今の若い者のやっている事は、勝手気儘に任してあるので、一所に描いていても絵具かニカワ位を借りに来る位で殆ど何をやっているのか分らない程です。以前と違い水墨の妙味とか雅趣があるとかいうような事は顧みられないで細密描写だとか言って細い線で描き倒してその上を塗り潰して行くというやり方で、今度の出品の椿でも、大きな絹のまん中に“トボン”と描いてあるのだなぁとからかうと、反対に一寸見ると面白いとか、趣があるなどというような詰まらぬ絵は描かんと申します。
今と以前とはその行方が変って居ります。
(大正十三年)