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作品ID | 50255 |
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副題 | ―― à Cobayashi ―― a Cobayashi |
著者 | 中原 中也 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」 角川書店 2003(平成15)年11月25日 |
入力者 | 村松洋一 |
校正者 | noriko saito |
公開 / 更新 | 2015-10-17 / 2015-09-01 |
長さの目安 | 約 2 ページ(500字/頁で計算) |
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人がいかにもてなしてくれようとも、それがたゞ暖い色をした影に見え、自分が自分で疑はれるほど、淋しさの中に這入つた時、人よ憶ひ出さないか? かの、君が幼な時汽車で通りかゝつた小山の裾の、春雨に打たれてゐたどす黒い草の葉などを、また窓の下で打返してゐた海の波などを……
※
実生活は論理的にやるべきだ! 実生活にあつて、意味のほか見ない人があつたら、その人は実生活以外にも世界を知つてゐる人だ。則ち科学でも芸術でもない、大事な一事を!
げにわれら死ぬ時に心の杖となるものがあるなら、ありし日がわれらの何かを慄はすかの何か! ――生を愛したといふことではないか?
小学の放課の鐘の、あの黄ばんだ時刻を憶ひ出すとして、タダ物だと思ひきれるか?
(社交家達といふものは理智で笑つて感情で判断する。即ち意味に忠実でないからだ。―――)
※
さうしてよき心の人よ、あれら手際よい技能家や学者等を恐れたまふな。あれら魂が稀薄なために、夢が浅いので歯切れが好いばかりだ。―――彼等が歯切れの好いことは彼等の人格と無関係だ。
※
地上を愛さんために、人は先づ神を愛す必要がある!
(一九二八・四)