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くも
作品ID51312
著者中原 中也
文字遣い新字旧仮名
底本 「中原中也詩集」 角川文庫、角川書店
1968(昭和43)年12月10日改版
入力者ゆうき
校正者ばっちゃん
公開 / 更新2012-03-01 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


山の上には雲が流れてゐた

あの山の上で、お弁当を食つたこともある……
  女の子なぞといふものは
  由来桜の花弁のやうに、
  欣んで散りゆくものだ

  近い過去も遠いい過去もおんなじこつた
  近い過去はあんまりまざまざ顕現するし
  遠いい過去はあんまりもう手が届かない

山の上に寝て、空をみるのも
此処にゐて、あの山をみるのも
所詮は同じ、動くな動くな

あゝ、枯草を背に敷いて
やんわりぬくもつてゐることは
空の青が、少しく冷たくみえることは
煙草を喫ふなぞといふことは
世界的幸福である



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