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桑名の駅
くわなのえき |
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作品ID | 51314 |
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著者 | 中原 中也 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「中原中也詩集」 角川文庫、角川書店 1968(昭和43)年12月10日改版 |
入力者 | ゆうき |
校正者 | ばっちゃん |
公開 / 更新 | 2012-03-01 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ鳴いてゐた
夜更の駅には駅長が
綺麗な砂利を敷き詰めた
プラットホームに只独り
ランプを持つて立つてゐた
桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ泣いてゐた
焼蛤貝の桑名とは
此処のことかと思つたから
駅長さんに訊ねたら
さうだと云つて笑つてた
桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ鳴いてゐた
大雨の、霽つたばかりのその夜は
風もなければ暗かつた
(一九三五・八・一二)
「此の夜、上京の途なりしが、京都大阪間の不通のため、臨時関西線を運転す」