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疲れやつれた美しい顔
つかれやつれたうつくしいかお |
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作品ID | 51324 |
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著者 | 中原 中也 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「中原中也詩集」 角川文庫、角川書店 1968(昭和43)年12月10日改版 |
入力者 | ゆうき |
校正者 | 木浦 |
公開 / 更新 | 2013-04-10 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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疲れやつれた美しい顔よ、
私はおまへを愛す。
さうあるべきがよかつたかも知れない多くの元気な顔たちの中に、
私は容易におまへを見付ける。
それはもう、疲れしぼみ、
悔とさびしい微笑としか持つてはをらぬけれど、
それは此の世の親しみのかずかずが、
縺れ合ひ、香となつて籠る壺なんだ。
そこに此の世の喜びの話や悲しみの話は、
彼のためには大きすぎる声で語られ、
彼の瞳はうるみ、
語り手は去つてゆく。
彼が残るのは、十分諦めてだ。
だが諦めとは思はないでだ。
その時だ、その壺が花を開く、
その花は、夜の部屋にみる、三色菫だ。