えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
手紙
てがみ |
|
作品ID | 51393 |
---|---|
副題 | 008 文久三年五月十七日 坂本乙女あて 008 ぶんきゅうさんねんごがつじゅうしちにち さかもとおとめあて |
著者 | 坂本 竜馬 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「龍馬の手紙、宮地佐一郎」 講談社学術文庫、講談社 2003(平成15)年12月10日 |
入力者 | Yanajin33 |
校正者 | Hanren |
公開 / 更新 | 2010-08-06 / 2014-09-21 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
此頃ハ天下無二の軍学者勝麟太郎という大先生に門人となり、ことの外かはいがられ候て、先きやくぶんのよふなものになり申候。ちかきうちにハ大坂より十里あまりの地ニて、兵庫という所ニて、おゝきに海軍ををしへ候所をこしらへ、又四十間、五十間もある船をこしらへ、でしどもニも四五百人も諸方よりあつまり候事、私初栄太郎なども其海軍所に稽古学問いたし、時[#挿絵]船乗のけいこもいたし、けいこ船の蒸気船をもつて近[#挿絵]のうち、土佐の方へも参り申候。そのせつ御見にかゝり可レ申候。私の存じ付ハ、このせつ兄上にもおゝきに御どふいなされ、それわおもしろい、やれ/\と御もふしのつがふニて候あいだ、いぜんももふし候とふり軍サでもはじまり候時ハ夫までの命。ことし命あれバ私四十歳になり候を、むかしいゝし事を御引合なされたまへ。すこしヱヘンニかおしてひそかにおり申候。
達人の見るまなこハおそろしきものとや、つれ/″\ニもこれあり。
猶ヱヘンヱヘン、
かしこ。
五月十七日
龍馬
乙大姉御本
右の事ハ、まづ/\あいだがらへも、すこしもいうては、見込のちがう人あるからは、をひとりニて御聞おき、
かしこ。