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酒場にて(定稿)
さかばにて(ていこう)
作品ID51890
著者中原 中也
文字遣い新字旧仮名
底本 「新編中原中也全集 第二巻 詩Ⅱ」 角川書店
2001(平成13)年4月30日
入力者きりんの手紙
校正者hitsuji
公開 / 更新2021-04-29 / 2021-03-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


今晩あゝして元気に語り合つてゐる人々も、
実は、元気ではないのです。

近代といふ今は尠くも、
あんな具合な元気さで
ゐられる時代ではないのです。

諸君は僕を、「ほがらか」でないといふ。
しかし、そんな定規みたいな「ほがらか」なんぞはおやめなさい。

ほがらかとは、恐らくは、
悲しい時には悲しいだけ
悲しんでられることでせう?

されば今晩かなしげに、かうして沈んでゐる僕が、
輝き出でる時もある。

さて、輝き出でるや、諸君は云ひます、
「あれでああなのかねえ、
不思議みたいなもんだねえ」。

が、冗談ぢやない、
僕は僕が輝けるやうに生きてゐた。
(一九三六・一〇・一)



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