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いちぢくの葉
いちぢくのは
作品ID51891
副題〔夏の午前よ〕
〔なつのごぜんよ〕
著者中原 中也
文字遣い新字旧仮名
底本 「新編中原中也全集 第二巻 詩Ⅱ」 角川書店
2001(平成13)年4月30日
入力者きりんの手紙
校正者hitsuji
公開 / 更新2021-10-22 / 2021-09-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


夏の午前よ、いちぢくの葉よ、
葉は、乾いてゐる、ねむげな色をして
風が吹くと揺れてゐる、
よはい枝をもつてゐる……

僕は睡らうか……
電線は空を走る
その電線からのやうに遠く蝉は鳴いてゐる

葉は乾いてゐる、
風が吹いてくると揺れてゐる、
葉は葉で揺れ、枝としても揺れてゐる

僕は睡らうか……
空はしづかに音く、
陽は雲の中に這入つてゐる、
電線は打つづいてゐる
蝉の声は遠くでしてゐる
懐しきものみな去ると。
(一九三三・一〇・八)



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