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古盃
こはい
著者萩原 朔太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-02 / 2018-12-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


小人若うて道に倦んじ
走りて隱者を得しが如く
今われ山路の歸さ來つつ
木蔭に形よき汝をえたり。
表面は蛟龍雲を吐いて
神有の祕密をそめて見るや
裏面には伶人額をたれて
物思ひ煩ふなよび姿
才華悧悧たる眼ざしには
工匠が怨みもこもりけんよ。
こは君逸品古色ありと
抱いて歸れば有情なりや
味よきしづくの淺紫なるに
け高き千古の春を知りぬ。



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