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あき
作品ID53552
著者萩原 朔太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-02 / 2018-12-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


白雲のゆききもしげき山の端に
旅びとの群はせはしなく
その脚もとの流水も
しんしんめんめんと流れたり
ひそかに草に手をあてて
すぎ去るものをうれひいづ
わがつむ花は時無草の白きなれども
花びらに光なく
見よや空には銀いろのつめたさひろごれり
あはれはるかなる湖うみのこころもて
燕雀のうたごゑも消えゆくころほひ
わが身を草木の影によこたへしに
さやかなる野分吹き來りて
やさしくも、かの高きよりくすぐれり
(大正二年九月)



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