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![]() ものごころ |
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作品ID | 53553 |
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著者 | 萩原 朔太郎 Ⓦ |
文字遣い | 旧字旧仮名 |
底本 |
「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房 1977(昭和52)年5月30日 |
入力者 | kompass |
校正者 | 小林繁雄 |
公開 / 更新 | 2011-08-02 / 2018-12-18 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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ものごころ覺えそめたるわが性のうすらあかりは
春の夜の雪のごとくにしめやかにして
ふきあげのほとりに咲けるなでしこの花にも似たり
ああこのうるほひをもておん身の髮を濡らすべきか
しからずはその手をこそ
ふくらかなる白きお指にくちをあて
やみがたき情愁の海にひたりつくさむ
おん身よ
なになればかくもわが肩によりすがり
いつもいつもくさばなの吐息もてささやき給ふや
このごろは涙しげく流れ出でて
ひるもゆふべもやむことなし
ああ友よ
かくもいたいけなる我がものごころのもよほしに
秋もまぢかのひとむら時雨
さもさつさつとおとし來れり