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秋日行語
しゅうじつこうご
作品ID53570
副題〔菊もうららに〕
〔きくもうららに〕
著者萩原 朔太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-07 / 2018-12-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


菊もうららに咲きいでたれど
我身は砂丘に寄りて悲しめり
さびしや海邊のおくつきに
路傍の草を手向くること
このわびしきたはむれに
ひとり樹木にすがりつき
たましひも消えよとむせびなく。
ああふるさとの永日に
少女子どものなつかしさ
たとしへもなきなつかしさ
やさしく指を眼にあてて
ももいろの秋の夕日をすかしみる
わが身の春は土にうもれて
空しく草木の根をひたせる涙。
ああかくてもこの故郷に育ちて
父母のめぐみ戀しやと歌ふなり。



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