えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

楽天Kobo表紙検索


うまや
作品ID53604
著者萩原 朔太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-19 / 2018-12-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

広告

えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応の無料縦書きリーダーです ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

広告

本文より


高原の空に風光り、
秋はやふかみて、
鑛脈のしづくのごとく、
ひねもす銀針の落つるをおぼえ、
ゆびにとげいたみ、
せちにひそかに、
いまわれの瞳の閉づるを欲す。

ここは利根川、
その氾濫のながめいちじるく、
青空に桑の葉光り、
さんらんとして遠き山里に愁をひたす、
あはれ、あはれ、われの故郷にあなれば、
この眺望のいたましさ。
眼もはるにみゆ。
村落の光る厩のうへに、
かがやく愛の手は伸びゆきて、
われの身は銀の一脈、
ひそかに息づき生命はや絶えなんとする。
―九月七日―



えあ草紙で読む
find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2024 Sato Kazuhiko