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巡礼紀行
じゅんれいきこう |
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作品ID | 53617 |
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著者 | 萩原 朔太郎 Ⓦ |
文字遣い | 旧字旧仮名 |
底本 |
「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房 1977(昭和52)年5月30日 |
入力者 | kompass |
校正者 | 小林繁雄 |
公開 / 更新 | 2011-08-19 / 2018-12-18 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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きびしく凍りて、
指ちぎれむとすれども、
杖は絶頂にするどく光る、
七重の氷雪、
山路ふかみ、
わがともがらは一列に、
いためる心山峽たどる。
しだいに四方を眺むれば、
遠き地平を超え、
黒き眞冬を超えて叫びしんりつす、
ああ聖地靈感の狼ら、
かなしみ切齒なし、
にくしんを研ぎてもとむるものを、
息絶えんとしてかつはしる。
疾走れるものを見るなかれ、
いまともがらは一列に、
手に手に銀の鈴ふりて、
雪ふる空に鳥を薫じ、
涙ぐましき夕餐とはなる。
―一九一四、一〇―