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竹の根の先を掘るひと
たけのねのさきをほるひと |
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作品ID | 53628 |
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著者 | 萩原 朔太郎 Ⓦ |
文字遣い | 旧字旧仮名 |
底本 |
「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房 1977(昭和52)年5月30日 |
入力者 | kompass |
校正者 | 小林繁雄 |
公開 / 更新 | 2011-08-25 / 2018-12-18 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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病氣はげしくなり
いよいよ哀しくなり
三日月空にくもり
病人の患部に竹が生え
肩にも生え
手にも生え
腰からしたにもそれが生え
ゆびのさきから根がけぶり
根には纖毛がもえいで
血管の巣は身體いちめんなり
ああ巣がしめやかにかすみかけ
しぜんに哀しみふかくなりて憔悴れさせ
絹糸のごとく毛が光り
ますます鋭どくして耐へられず
つひにすつぱだかとなつてしまひ
竹の根にすがりつき、すがりつき
かなしみ心頭にさけび
いよいよいよいよ竹の根の先を掘り。