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三人目の患者
さんにんめのかんじゃ
作品ID53634
著者萩原 朔太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-25 / 2018-12-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


三人目の患者は、
いかにもつかれきつた風をして、
べろりと舌をたらした、
お醫者が小鼻をとんがらして、
『氣分はどうです』
『よろしい』
『食物は』
『おいしい』
『それから……』
『それからすべてよろしい』
そして患者は椅子からとびあがつた、
みろ、歪んだ脊髓のへんから、
ひものやうにぶらさがつた、
なめくじの神經だの、くさつたくらげの手くびだの……。
そいつは眞赤の殺人者だ。


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