えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

記憶
きおく
著者萩原 朔太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-31 / 2018-12-18
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応 ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

amazon.co.jp

本文より


記憶をたとへてみれば
記憶は雪のふるやうなもので
しづかに生活の過去につもるうれしさ。

記憶は見知らぬ波止場をあるいて
にぎやかな夜霧の海に
ぽうぽうと鳴る汽笛をきいた。

記憶はほの白む汽車の窓に
わびしい東雲をながめるやうで
過ぎさる生活の景色のはてを
ほのかに消えてゆく月のやうだ。

記憶は雪のふる都會の夜に
しづかな建築の家根を這ひまはる
さびしい青猫の影の影
記憶は分身のやうなものだ。



えあ草紙で読む

find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2019 Sato Kazuhiko